入管法上における身元保証人の役割と責任

まずは、どのような人が身元保証人になれるのか、その要件を見てみますと、
要件
「日本人または永住者で申請人の関係者」となります。
入管は【永住者】申請できる位長く日本に在留しているのだから、「身元保証人」になってくれる位の関係性のある人物がいるはずでしょ、という論理で攻めてきます。
そのような関係性を持つ「親」「友人」「勤務先の上司や同僚」が一人もいない、ってことだと、「なんでいないの?」「日本社会に順応できていないのでは?」との疑いを招き、審査のうえで大きな不利になります。
苦し紛れに身元保証人代行サービス会社を利用する方もいますが、「関係性が無い」のでお勧めできません。
なお、2022年6月から在職証明書などの提出は不要となり、日本人または永住者で申請人の関係者であれば無職や無収入の方であっても身元保証人になることは可能です。身元保証人が提出する書類は「身元保証書」と「身分事項を明らかにする書類(免許証のコピーなど)」だけです。
※【日本人の配偶者等】や【永住者の配偶者等】を申請する場合は「配偶者」が「身元保証人」になることを求められます。
役割
次に身元保証人の役割を確認してみましょう。「身元保証書」にはこのように記載されています。
私は上記の者の永住許可申請に当たり、本人が本邦に在留中、本邦の法令を遵守し、公的義務を適正に履行するため、必要な支援を行うことを保証いたします。
要するに、
の3つの役割を担っていることになります
最後に3つの役割についての責任を見てみましょう
責任
結論から申しますと、民法上の保証人や連帯保証人とは違い、永住ビザ(およびその他の在留資格)の申請に関する身元保証人には法的責任がありません。つまり、仮に一切の責任を放棄したとしても刑罰などのペナルティは発生しないということです。入管から義務を履行するよう強制されるようなこともありません。
これでは「身元保証人」として【永住者】の債務に責任はあるが、その責任を果たさなくても法的に問題無しとなってしまい「いったい何のための身元保証なのか?」と疑問を持つ人もあるでしょう。
実は法的責任はなくても「道義的な責任」は負うことになるのですが、それはどのような責任なのでしょうか?
「道義的な責任」とは、人として道徳的に正しい道を守るべき責任なので、この責任を果たせない場合は社会的信用が失われ、その後(他の申請人の)身元保証人に就任することは難しくなります。
候補者にこの責任範囲についてしっかりと説明した上で「身元保証人」の引き受けをお願いしましょう!
少なくとも民法上の保証人や連帯保証人のような保証契約とは別物だと分かれば、引き受ける側の心理的ハードルは大きく下がるのではないでしょうか?
