
不法就労助長罪リスク
「不法就労活動」を「助長」すると不法労働助長罪に問われるので、まずは「不法就労活動」とはどのような活動なのか?について見ていきます。
「不法就労活動」に該当する活動は大きく分けて2パターンあり、
①在留資格は有するが、当該在留資格で認められた報酬を得る活動の範囲を超えた場合
②そもそも在留資格を有していない者(オーバーステイを含む)が報酬を得る活動を行った場合
「不法就労活動」を行ったものは原則として退去強制となりますが(入管法:第24条)その際、雇用主側も「不法就労助長罪」に問われるリスクがあり、これを避ける為にはどのような点に注意すべきか?
との視点で考えていきます。
雇用関係がなくても処罰される
要注意ポイントとして最初にあげたいのは、「不法就労助長罪」に問われ得るのは雇用主には限らないという点です。例えば、労働者派遣における派遣元・派遣先は共に対象となります。派遣労働のシステムでは、通常、派遣先と労働者の間に雇用契約はありません。
派遣先の立場からすると「そんな不良外国人を派遣してくるな!!」と派遣元に対し怒りの感情が沸き起こるところですが、雇用契約の有無は無関係ですので逃れられません。これは請負契約においても同様です。
不法就労助長罪の成立する範囲は広く、高裁の判例では「単に対人関係上優位な立場にあることを利用して、不法就労活動を行うべく指示等の働きかけをすることで足りる」とされていますので、決して雇用主に限定されているわけではなく、従業員(店長など)もその対象者となり得ます。
そして、不法就労助長罪の子分的な位置付けで
資格外活動幇助罪という刑罰もありますので、ついでに御紹介しときます。
外国人との間で対人関係上の優位性や働きかけがなかったとしても、不法就労活動(在留資格該当性のない就労活動)を物理的に容易にしたと言える場合は資格外活動幇助罪が成立しますので御注意を!(入管法:70条1項4号)(刑法:62条1項)
知らなかったは通らない
要注意ポイントとして次にあげたいのは、「不法就労活動に該当するとは知らなかった」という言い訳は通らないという点です。
雇用主は厳格なチェック義務を負うので、「本物同様の精巧な偽造カードで見破れなかった」や「見た目も会話も日本人と見分けがつかず、そもそも外国人とは思わなかった」などの特別なケースを除き、逃れることは難しいでしょう。
うっかりオーバーステイ?
要注意ポイントの3つ目は「本人も気づかず、いつの間にかオーバーステイになってた」というパターンです。そんなことがあるのか?と思われる方もいらっしゃると予想しますが、これ意外と多いんです。
特に3年や5年など長い在留期間を付与されている方に起こりがちなミスなのですが、長く在留している為にうっかりと期限日を忘れてしまっているパターンです。例えば運転免許証などの更新では「そろそろ期限がきますよ」とハガキでお知らせが来ますが、在留期限にはこのてのお知らせがありません。5年前に付された期限日をうっかりと失念しても責められない気もいたしますが、入管に許されるはずもなく逃れられません。
本人は勿論ですが、雇用主側でも在留期限の確認と管理は必須でしょう。
うっかりオーバーステイでも雇用主は「不法就労助長罪」に問われ得ます。
厳罰化?
現在の不法就労助長罪(入管法:第73条の2)にはその罰則として「3年以下の懲役または300万円以下の罰金、もしくはその両方」と定められていますが、2024年6月14日に可決された、入管難民法などの改正案により
300万円以下の罰金⇒500万円以下の罰金
年以下の懲役⇒5年以下の懲役
と近い将来(これを書いているのは2026年1月です)厳罰化されることが決定しています。
